ようやく冬が終わり春っぽくなってきて、日々暖かくなりましたね。それなのに花粉症で外に出れないというもったいなさを感じる今日このごろ。
今年の冬も寒かったですね。家の中も寒くて、朝起きるのがつらいのなんの。家をたてるときは絶対に暖かい家にするぞ、と思ってました。そんな私にとっては冬に暖かい家は絶対条件で、そこを一番に探しました。
ひとくちに暖かい家 といっても、そんなの人それぞれでしょ、と言われればそのとおりなのですが、いろいろ調べているうちにわかってきたことがあったので、この記事で共有できたらと思います。
ハウスメーカーや工務店を決める上で大切な最初の一歩は、 自分としてはこれは絶対に外せない、という部分を決めるところになります。私の例で説明していきます。
1.絶対に譲れない条件を決める
私が絶対に譲れなかった条件は以下の2つです。
- 冷暖房費をかけずに家全体が冬暖かく、夏涼しい
- 大地震が起きてもそのまま住める、地震に強い家
うーん(笑)。普通にみんな思っていることだと思います。なので、これだけでは絞れないですね。
展示場にあるハウスメーカーや工務店を見学しに行くと、たいてい自分たちの建てる家は「次世代省エネ基準」をクリアしているので、暖かいですよ、と言われれます。
だったら、どこで建てても同じなのか、というと実は全然違います。次世代省エネ基準といえば、聞こえはいいですが、世界的な基準からするとかなりお粗末で、隙間だらけの昔の家に比べれば暖かい、というレベルで特別すごいというものではありません。
ではどういう暖かさだったら良いのでしょうか。もう少し細かく見ていくことにします。
2.具体的な数値を決める
やはりメーカーを選択するには一定の具体的な値を見て、比較していく必要があります。地震に強い家というのは、耐震等級というわかりやすい数値があるのですが、冬暖かい、となると感覚的なので結構難しいです。それでも客観的に表すことができるので、少し説明していきます。
「冬暖かく、夏涼しい」の基準
僕が決めた「冬暖かく夏涼しい」の具体的な基準は以下になります。
- Q値 1.6以下 希望は1.3以下
- UA値 0.46以下
- C値 1以下
これは、次世代省エネ基準の北海道レベル以上の断熱・気密性能ということになります。
断熱気密性能を測る上で、Q値、C値という指標が必要になってきます。
Q値が熱損失係数と呼ばれ、断熱性能=暖かい空気がいかに冷めにくいかを表す数値です。小さいほど良いとされています。
一方、C値は隙間相当面積のことで、気密性能=家の隙間がどのくらいあるかの数値です。これも同じく小さいほど良いです。
家をダウンジャケットだとして説明すると、
断熱とは、もこもこした部分=羽毛の量のことで、これが大きいと暖かいですよね。
また、気密とは、ジャケットの手首などの穴の大きさのことを表しています。
いくらもこもこでも、ジャケットのチャックが開いて胸元が出ている状態だと寒いですよね。だから、できるだけ隙間がない方が暖かいのです。
ただし数値が絶対ではなく、家全体の形とか、太陽の熱(日射という)をどうするかを考えた上で決める必要があったりと、トータルでも見ていく必要があります。
Q値とC値の数値のイメージ
数字で表しても、ピンと来ないので、大体のイメージを下にまとめました。
UA値とは計算方法が異なるけど、Q値と同じく断熱性能を表した数値です。
基準 | Q値 | UA値 |
---|---|---|
次世代省エネ基準 | 2.7 | 0.87 |
次世代基準の東北 | 1.9 | 0.56 |
次世代基準の北海道(僕が考える最低ライン) | 1.6 | 0.46 |
カナダのR-2000(国が2000年には超えたかった基準) | 1.4 | 0.4 |
Q1住宅(ここ以下を目指したい) | 1.0 | 0.35 |
パッシブハウス | 0.7 | 0.3 |
計算方法は参考として載せておきます。
UA=0.374 x Q – 0.144
Q=2.67 x UA + 0.387
ちなみに、パッシブハウスとは、ほとんど暖房機器を使用せず、自然の熱=太陽だけで暖房を賄える家のことです。ここまでいけば究極ですね。
3.断熱気密の数値で足切り
基準となる数値もわかりましたので、具体的にハウスメーカーがどのくらいの家を建てられるかを見ていきましょう。この数値によって、足切り=候補から脱落させる事ができます。
各メーカーのQ値とC値
各メーカーのQ値とC値をまとめてみました。2018年のデータなので今は変わっているかもしれませんが、大体はあっていると思います。気密性能のC値はすべてのメーカーが公表していないため、記載していない物もあります。
ただし、気密性能を重要視しているメーカーはC値を記載していると考えてもいいんじゃないかなと思います。なので、記載していない時点で足切り対象とします。
- 0.76/0.59 一条工務店 iシリーズ
- 1.16/0.71 一条工務店 夢の家シリーズ
- 1.2/0.99 アイフルホーム セシボ極
- 1.32/0.72 POINT スウェーデンハウス
- 1.3/2.0 東急ホームズ
- 1.39/0.92 セルコホーム
- 1.41/5.0 ミサワホーム高断熱
- 1.42/- 三井ホーム
- 1.5/- 住友不動産
- 1.6/1.0 グランツーユー(セキスイハイム)
- 1.6/- 三菱地所、積水ハウスプレミア
- 1.8/5.0 ミサワホーム標準
- 1.86/- トヨタホーム
- 1.9/- 積水ハウスハイグレード
- 1.92/5.0 住友林業
- 1.98/- 三井ホーム標準
- 2.1/2.0 セキスイハイム標準
- 2.23/- ダイワハウス
- 2.4/- 積水ハウス
- 2.68/- ヤマダエスバイエル
- 2.7 次世代標準、ヘーベルハウス、パナソニックホーム、東日本ハウス、タマホーム
UA値変換表を比較用に載せておきます。
絞れた候補
上でも出しましたが、改めて私が求めた基準は以下になります。
- Q値 1.6以下 希望は1.3以下
- UA値 0.46以下
- C値 1以下
=次世代省エネ基準の北海道レベル以上
これを達成できているのは、以下のメーカーのみです。
Q値 | C値 | ハウスメーカーの商品 |
---|---|---|
0.76 | 0.59 | 一条工務店 iシリーズ |
1.16 | 0.71 | 一条工務店 夢の家シリーズ |
1.2 | 0.99 | アイフルホーム セシボ極 |
1.32 | 0.72 | スウェーデンハウス |
1,39 | 0.92 | セルコホーム |
1.6 | 1.0 | グランツーユー (セキスイハイム) |
だいぶ減りましたね。5メーカーが残りました。最終的に私が選んだ一条工務店は、5メーカーのなかでも圧倒的な数値になっていますね。ほかはあまり聞いたことが無いところだらけです。大手である、積水ハウスとか、ヘーベルハウスとかは全く出てきませんね。鉄骨ユニットを主体とするメーカーはこの時点で候補外です。
鉄骨ユニットのメーカーは気密性能を上げることが工法的に難しいので、どうしても気密性能は低くなりがちです。木造の家は比較的気密性能も高いですが、木造である住友林業は気密性能がかなり悪いのはなぜなんでしょうね。そういう部分を求める人向けではない、ということなんでしょうか。
この時点ですでに一条工務店の圧勝ですが、少し他のメーカーも見ていきましょう
4.ハウスメーカー考察
アイフルホーム
テレビCMでよく見るので大手のハウスメーカーだと思っている方も多いと思いますが、正確には全国の工務店が加盟するフランチャイズチェーンの会社です。キッチンやお風呂などの住宅設備で有名なLIXILグループの中にあるLIXIL住宅研究所が正式名称です。アイフルホームはそのブランド名です。
基本的にフランチャイズのメリットを活かしたローコスト(価格が安い)のメーカーで、性能の高い家というイメージはなかったので、断熱気密性能でトップレベルの家が建てられる印象はありませんでした。なので結構びっくりしています。
セシボ極という商品が断熱気密で特化している商品で、アイフルホームも将来に向けて、性能の高い家を目指しているようです。
アイフルホームを選ばなかった理由の一つは、実態が工務店であることです。工務店はメリットももちろんありますが、デメリットとしては工務店が倒産したら、家の保証は誰もしてくれないということです。大手も潰れる可能性はありますが、工務店は大手以上に潰れやすいと判断し、不安だったため、選択肢から外しました。今考えると、ちょっともったいなかったなと思います。
スウェーデンハウス
聞きなれないと思いますが、一条工務店が飛び抜けるまでは、断熱気密性能のトップと言っていいほどの性能を誇っていたのがこのメーカーです。その名の通り、北極圏にまたがる国スウェーデンなので、家の寒さに対する技術は日本より上です。
その技術や工法を輸入して建てているのがスウェーデンハウスです。とはいえ、昨今は一条工務店に性能が抜かれているので、輸入住宅のデザインが好きな人を中心に選ばれているのではないかと思います。
私がスウェーデンハウスを選ばなかったのは、価格の高さです。輸入住宅ということで大手のハウスメーカーよりも2回りほど高かったので諦めました。また、デザインも輸入住宅にこだわりもなかったため、選びませんでした。断熱気密+アルファを求める人のハウスメーカーですね。
セルコホーム
ほとんどの人は知らないと思いますが、ここも輸入住宅のメーカーです。こちらはスウェーデンではなく、カナダ。同じく寒い国なので、寒さへの技術は優れています。
ただ、これも一条工務店に比べれば、それほどメリットのあるものではなく、スウェーデンハウスと同様、価格の高さなどから、選択肢から外れました。
グランツーユーv(セキスイハイム)
セキスイハイムは、積水ハウスと混同されがちですが、別の会社です。セキスイハイムは、積水化学工業の住宅部門のことです。
基本的には鉄骨ユニットの家をメインに販売していますが、木質系の家もラインナップされています。それがグランツーユーです。ツーバイフォーと呼ばれる工法で、断熱気密に有利なだけでなく、地震にも強い、という意味では一条工務店と同じです。
実は、最後まで候補に残っていました。個人的に営業の方がとても熱心で一条工務店から気持ちがグランツーユーに行きかけました。換気システムの快適エアリーに除湿機能があって、これもとても魅力的でした。
ただやはり価格はネックで、一条工務店のほうが住宅設備のクオリティがやはり高く、総合的に一条工務店に軍配がくだりました。個人的にはもう少し、断熱気密高ければ、良かったなあと思うのが正直なところ。
一条工務店に決めた理由は、断熱気密性能もありますが、住宅設備のクオリティの高さです。以下で、詳しく説明しています。
まとめ
冬暖かい家をほしいと思った私が、断熱気密の性能を表す、Q値とC値に出会い、その数値の高い順に並べて、選んでいきました。ここに至るまでに、10数冊の本を読み、メーカから取り寄せた数十のカタログを調べ、たくさんのサイトを数ヶ月見続けた上で決めていったので、結構時間がかかりましたが、全体としては納得行く選択ができたかなと思います。
断熱気密が高くないと絶対良くない、とは言いません。皆さんそれぞれの価値観があると思いますので、あくまで私個人の一例として捉えていただいたほうがよいです。
冬暖かい家を選びたい方の助けになれば幸いです。
我が家の1年間の光熱費については以下の記事にまとめましたので参考にしてください。
また、高気密高断熱の家は本当に省エネになるのかについて考察しています。
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