こんまりこと近藤 麻理恵さんの著書『人生がときめく片づけの魔法』が改訂新装版になりましたね。もはや、片づけ界(?)では知らぬ人はいないほど、こんまりメソッド(方法)と呼ばれて、世界でも活躍されているすごい方です。
最近、Netflixオリジナルの番組として、こんまりの番組が作られてましたね。全8エピソードで、アメリカにあるご家庭の片づけをこんまりがアドバイスしながら実施していく内容です。日本でも同様に、たまに特集されることがありましたが、あれのアメリカ版ですね。
ただ、ここまでこんまりメソッドも広がりを見せていても、やはりこんまりの片づけの方法についての誤解や、その本質の見誤りは多く存在していると思います。こんまりメソッドはリバウンドしない。そんなことを言われても、信じがたいですよね。
そこで、こんまりメソッドの本質、リバウンドしない本当の理由を私なりの解釈として記事にしてみようかと思います。私が言うのもおこがましいですが、片づけたい、と思う人たちへの参考になれればと思っています。
そもそも片づけって?
いきなり結論をお話しすることも可能ですが、少し考えていきましょう。
まず、片づけとは何でしょうか。
こんまりの定義する片付けとは、「モノを捨てること」と「収納場所を決めること」になります。これは一般的に言う整理整頓をわかりやすく言い換えただけなので、こんまりオリジナルではないです。整理=捨てる、整頓=収納する、です。
また、「モノを捨てること」を最初に行い、その後に、「収納場所を決める」というのが絶対のルールですが、特段変わったなことではありませんね。整理整頓という言葉の通り、整理してから整頓する、というのは片づけの基本ルールのようなものです。
こんまりのオリジナリティは大きくは4つ
これらは、こんまりメソッドというよりは、広く知られている片づけの常識の範疇でしょう。
では、こんまりのオリジナリティはどこにあるのでしょうか。
私としては、こんまりのオリジナルは以下の考え方が基本になっていると考えます。
- 片づけに性格は関係なく、片づけられないのは単にやり方を知らないのが原因
- 一気に片づけなければ片づかない(毎日少しずつということはしない)
- 「場所別」ではなく、「モノ別」に片づける
- 捨てるものを選ぶのではなく、自分が残したい大事なもの(ときめくもの)を選ぶ
収納も含めると、他にもあると思いますが、個人的には、主にはこれだと考えています。
片づけがめんどくさい性格、だから片づかない、と思っている人もいるでしょう。かくいう自分もそうでした。だけど、片づけのやり方さえわかれば、誰でも片づけられるのです。
Netflixの番組では、みなさん、片付けが得意というわけではなく、自分と似たような片づけられない人も多くいました。でも、最終的にはこんまりメソッドの通りやっていけば、片づいていくのです。まさにやり方を知らないだけなのです。
また、片づけというと、場所別に片づけがちです。リビング、寝室、クローゼット、などなど。でも、こんまりでは、モノ別です。例えば、服を片づける場合は、家にある服を全て一か所にすべて集めるところからスタートします。そこから必要なものを選び取るんです。この方法は最初に聞いた時は、衝撃的でしたが、今ではこれこそが最も合理的な方法だと感じています。
まずは、自分の持っている量を把握する。そして、自分にとって必要な量だけ残していきます。これができなければ、片づけることはできないのです。少なくする、ということが目的ではありません。服は10つ、本なら30冊まで、なんてことはこんまりは言いません。100冊が必要なら、100冊を堂々と残そう、というのがこんまりメソッドです。ただ、たいていの人は、基本的には自分が思っている以上にモノをもっているので、捨てることになることが多いだけです。
こんまりメソッドの本質とは
このようにこんまりメソッドの基本的なルールだけでも大変面白く、実践するだけで効果を発揮すると思います。なので、本質を理解しないから、こんまりメソッドを実行できない、なんてことはないと思います。やりながら本質を理解していく人も多いのではないでしょうか。
いや、むしろ、この本質に至るためにこんまりメソッドがあるといってもいいかもしれません。
何を言っているのか、わからなくなってくると思いますので、結論を言うと、
こんまりメソッドの本質とは、「自分の価値観を理解できるようになること」にあるのです。
「自分の価値観」とは、自分が何が好きで、何が嫌いで、どういう状態が良いと考えるか、ということです。どの服を持っていたいか、どういう環境で暮らしたいか。そういうことって、実は普段考えているわけではないと思います。
何となく、ぼんやりと好き嫌いを決めていないでしょうか。そして、好きか嫌いかを判断しないまま放置しているものはないでしょうか。それが実のところ、片づけられない、物を捨てられない最大の原因になっている、ということをこんまりさんは経験的に理解したのだと思います。
「ときめき感度」とは理解力
こんまりメソッドでは、いやが上にもその判断力を付けさせられます。こんまりメソッドとは、最終的には、その人のもつ、その人独自の価値観をその人自身に理解してもらうことを目指す方法なのです。部屋が片づく、というのは実のところ、そのプロセスを通す中で、副産物的に得られるものであって、実のところ、価値観を見出すことが主目的といえると思います。
こんまりさんはよく「ときめき感度」という言葉を使います。片づけを通じて、「ときめくもの」だけを残していくことを続けていくと、最初は何がときめきなのかわからないですが、次第に分かるようになっていくそうです。
この「ときめき感度」はつまるところ、自分の価値観に対する理解力ではないかと思うのです。理解力が高まれば自然に必要かどうかの判断ができるようになるのです。
こんまりメソッドはリバウンドしない本当の理由
こんまりメソッドは、リバウンドしません。
リバウンドとは、要は片づけた部屋が再び散らかり元に戻るということ。でも、こんまりメソッドではそれがない、ということになっています。信じがたいことと思うかもしれませんが、これは嘘ではないと思います。なぜなら、こんまりメソッドの本質が片づけ自体ではなく、その人の「価値観を理解する力」を獲得させているからです。
その力は、その後に、自分が良いと思わないものは絶対に買わなくなり、部屋が散らかるほど、大量のものであふれることはなくなるからです。良いものだけ買うし、不要になったら捨てる、この基本ができるようになるからです。
一度自転車に乗れれば、二度と乗せなくなるようなことはありません。それ同じです。一度自分の価値観を理解し、判断力を養うことができれば、もはや片づけられなくなることはありません。これが、こんまりメソッドの本質であり、威力であると思います。
まとめ
こんまりの偉大なところは、「自分の価値観を理解しよう」とは言わずに、「ときめく」ものを残しましょう、としたところだと思います。「ときめき」って言われてもはっきりとは分からないとは思いますが、感覚的にはこんまりが言いたいことややらせたいことは理解できると思います。「価値観を理解しよう」なんて言っても、何がどう価値観なのか、わからないですが、「ときめき」を見つけ出すと考えれば、漠然とでも分かる、というところが、多くの人に支持されたことだと思います。
また、自分の価値観を理解するための具体的な方法を示せたのもすごいところです。まずは考えやすい「服」から初めて、最後に判断の難しい「思い出品」という手順を考案したことは片づけをずっとやってきたからこそ生み出されたものなんだと思います。
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