「銀魂」や「ジョジョの奇妙な物語」、「ブリーチ」が実写映画化され、漫画の実写化がますます広がっていますね。すでに人気の高い原作をもとに映画にすることがある程度の客を見込める漫画原作映画は批判はあれど、近年たくさん公開されるようになってきました。
よく漫画原作の映画で成功したものはない、と言われることが有りますが、そんなことはなくて、ちゃんと成功した漫画原作の映画もたくさんあります。
今回は、僕がおすすめの漫画原作映画を紹介します。ちなみに、邦画のみです。
1.ちはやふる
幼なじみの綾瀬千早、真島太一、綿谷新の3人は、新に教わった「競技かるた」でいつも一緒に遊んでいた。新の競技かるたにかける情熱に、千早は夢を持つことの大切さを教わるが、そんな矢先に新は家の事情で遠くへ引っ越してしまう。高校生になった千早は、新に会いたい一心で「競技かるた部」創設を決意し、高校で再会した太一とともに部員集めに奔走。なんとか5人の部員を集めて競技かるた部を立ち上げた千早は、全国大会を目指して練習に励む。
言わずと知れた競技かるたの漫画ですね。少女漫画らしからぬスポ根漫画で、男女問わず人気です。
自分も原作が大好きなので少しハードルを下げつつも不安の中で見に行ったところ、それを覆す面白さでした。ものすごくよく出来ていてびっくりしました。基本的には漫画通りなんだけど、オリジナルな部分の良さも光ります。全体的には上手く2時間に収めてるなあという印象。
主人公の千早を演じる広瀬すずがベストキャスティングでとてもよいです。また、漫画も含めてですが、映画では特に太一が主人公として考えるととても分かりやすい内容になってます。
上の句ラストの運命戦では「ちは」の札が残りますが、これは明らかに千早の隠喩で、自分の全身全霊をかけて、そして運命線では絶対に勝てないという運命を打ち破って千早を取りに行く展開がとてつもなく熱いです。ズルをしたこと、神様に見放されているということ、それら積み上げてきた展開が見事を見事に収束させていて、映画のラストとしての完成度がすごく高いと思います。この辺は、漫画と展開は同じなんだけど、太一を取り巻く状況が少し意味合いが変わっていて、映画独特の読み応えが有り、すごく面白かったです。
2.るろうに剣心
伝説の「人斬り抜刀斎」と名高い緋村剣心が明治維新以後、殺さずの誓いをたて、決して人を斬ることのできない「逆刃刀」を携えて町から町へ流浪の旅を続ける姿を描く。
ジャンプ漫画の実写映画かとして、一番成功している漫画ではないでしょうか。他の漫画は非現実感が強いなかで、るろうに剣心は比較的現実的な設定が多く、実写化しやすかったということもあるでしょう。
とはいえ、やはり少年漫画なので、それなりにファンタジー要素が入っているんだけど、それを美味いことリアルに寄せつつも、迫力は殺さず、キャラクターも漫画以上のものを持ってくるところが凄い映画でした。
剣心役の佐藤健、薫殿役の武井咲を始めとして、キャストがとてもよかったですが、特にラスボス(鵜堂)役の吉川晃司さんは、雰囲気抜群で最後は全部持っていくレベルです。最後の抜刀シーンは映画史に残るかっこよさと言っても過言ではないと思ってます。とてもかっこよい映画でした。
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3.僕だけがいない街
ピザ屋でアルバイトする売れない漫画家・悟は、ある日突然「リバイバル」という特殊な現象に見舞われるように。それは、周囲で悪いことが起きる気配を察すると自動的にその数分前に戻り、事件や事故の原因を取り除くまで何度でも繰り返すというものだった。リバイバルによって大事故を防いだものの自らが大怪我を負った悟は、同僚の愛梨や上京してきた母の看病で回復していく。そんなある日、悟の母が何者かに殺害されリバイバルが起きるが、今回はなぜか数分前ではなく18年前だった。そこは、悟の同級生が被害者となった連続誘拐殺人事件が起きる直前の世界だった。
タイムスリップものが好きなので、もちろん原作も好きですが、映画も好きですね。まあ、原作ありきの面白さではあるんだけど、映画としての出来も悪くなかったと思います。原作見てない人には評判いいみたいですね。
漫画原作からして、実写映画にし易い作品なので、映画として悪くなることはない。尺が足りないなどの影響はあるんでしょうけど、一種のミステリでもあり、SF・ファンタジーでも有りで、映画としての面白さは、原作読んでるときから絶対あるなと思っていました。なので、いいと思いますよ。
4.アイアムアヒーロー
冴えない漫画家アシスタントの主人公・鈴木英雄が、謎のウィルスによって「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化した人々に襲われ、逃亡の道中で出会った女子高生の比呂美と、元看護師の藪とともに不器用に戦いながらも、必死でサバイバルしていく姿を描く。
これは原作未読のまま見ても面白い。日本映画でゾンビ映画ってほとんど皆無に近いと思うんだけど、これは日本のゾンビ映画で最高レベルの完成度ではないでしょうか。ゾンビに追われてロッカーに逃げ込むも、 助けを求める女性陣の元に行かなければ行けない葛藤で、何度も何度も何度も勇気を振り絞ろうとするシーンがあって、大泉洋のキャラクター性も相まって、映画史の中でも記憶に残るシーンでした。ラストの一騎当千ぷりも見所です。
ハリウッドでも、ワールドウォーZやウォーキング・デッドなど、リアル志向のゾンビモノがある種の流行だけど、こういった既成のゾンビ物をうまく踏襲したB級感をちゃんと漂わせているゾンビ映画を、日本でもちゃんと作れて、ちゃんと見れるというのもまた良いことかなと思う。
ゾンビ映画って、低予算でも意外にどうにかなる日本映画界の新たなジャンルとして発展できるのでは、と思えた作品。今後の続編なり、インスパイアした作品なり、楽しみが増えた映画ですね。
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5.デスノート
「このノートに名前を書かれた人間は死ぬ」。死神が落とした“死のノート=デスノート”を拾ったのは、誰にも負けない頭脳を誇るエリート大学生・夜神月。彼は、理想の世界を築くため、自らの手で世界中の犯罪者を裁き始める。
言わずと知れた有名漫画デスノートの実写映画。この手の漫画の映画はは良くも悪くもどっちにも転びそうな危うさがあったけど、意外に良く出来ていました。話題性も相まって、なかなか成功した部類です。リュークのビジュアルはともかくも、やはり何と言ってもL役の松山ケンイチのどハマりっぷりが良かったですね。夜神月役の藤原竜也も負けず劣らず、この2人の存在感無くしてこの映画は成立しませんでしたね。役者って大事。
松山ケンイチはその後にスピンオフされるほどでしたね。まあ、そっちの映画のほうは それほどでしたが。まあ、キャラクター映画でしたからね。
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6.HK 変態仮面
ドMの刑事とSM女王を両親に持つ紅游高校拳法部員の色丞狂介(しきじょうきょうすけ)は、転校生の姫野愛子に一目ぼれしてしまう。そんなある日、愛子が銀行強盗に巻き込まれ、人質にとられる事件が発生。覆面を被って変装し、強盗を倒そうとした狂介は、間違って女性用パンティを被ってしまう。しかしその瞬間、狂介の奥底に眠っていた変態の血が覚醒。人間の潜在能力を極限まで引き出した超人「変態仮面」に変身する。
(出典:「変態仮面」の検索結果 – 映画.com)
おバカなことを真剣にやると面白いという映画。やってることは物凄いくだらないことなんだけど、真面目に真剣にやるとコメディとして成立できる不思議。主役の鈴木亮平は、その後にその後に朝ドラの「花子とアン」で主人公の夫役で、パンツ被ってる人とは思えないほど、好青年を演じていて驚いたものだ。
演技の幅がデカすぎて、同時代に勝てるものは山田孝之くらいしかいないのではと思はないではいられない。こんな一見すると三流映画と思わずにはいられないものでも、体を張って肉体的説得力をもたせた鈴木亮平さんは、本当に素晴らしい役者だなと思う。誰もがそうしなければならないとは思わないんだけど、純粋に原作にかける思いの素晴らしさで、この映画の半分は成功したようなものだ。
7.闇金ウシジマくん
10日で5割という違法な金利で金を貸し付ける闇金業者・丑嶋馨が、弱肉強食の社会の底辺で力強く生き抜く姿を描く。借金の回収のためにセレブたちのホームパーティに訪れた丑嶋は、イベント系サークル代表のジュンと出会う。数日後、丑嶋の経営する「カウカウ・ファイナンス」に現れたジュンは、イベントの資金調達のための借金を懇願するが……。
もう、どうやっても不幸にしかならないストーリーなのに、なぜか見入ってしまう不思議な感触のある漫画。ウシジマくんという神か悪魔かわからないキャラクターを演じられるのは、今のところ山田孝之以外に存在しないかもしれない。ウシジマくんは現代版の喪黒福造なんじゃないかと思うけど、もっと冷静で冷酷に見つめる役割をもっている。山田孝之の人を食ったようなキャラクターはまさに的確だった。
成功しようと目論む人、失敗を認められない人、人に騙され続ける人、それらはすべて他人事では終わらない、見ている側が自分と通じる、重なる人々もいるのではないだろうか。そこに悲劇的な読み方だけではなく、反面教師的な意味合いが出てくるのだと思う。そこがまた面白い。
8.海街diary
湘南を舞台に、異母妹を迎えて4人となった姉妹の共同生活を通し、家族の絆を描く。鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。
四姉妹全てのキャストが魅力的というのがこの映画最大の魅力。特に四女の広瀬すずの透明感たるや凄まじいものを感じる。綾瀬はるかのお姉さんっぷりも、バラエティに出た時の天然女子みたいな感は全くなく、しっかりした女性にしか見えない。凄まじい女優だなと思える。
途中で広瀬すずがサッカーやる シーンあるんだけど、経験者から見てもかなり上手いらしい。広瀬すず自身はバスケをやってるので運動神経も抜群みたい。そういうのも含めて、リアル感、実在感を感じることのできる映画。四姉妹が今もどこかで暮らしているようなそんな錯覚を覚える作品です。
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9.寄生獣
ある日、人間の脳を乗っ取って肉体を操り、他の人間を捕食する「パラサイト」と呼ばれる謎の寄生生物が出現。平凡な高校生活を送っていた泉新一も、一匹のパラサイトに襲われる。しかし、新一の脳を奪うことに失敗したパラサイトは、そのまま右腕に寄生し、自らを「ミギー」と名乗って新一と共生することに。当初は困惑した新一も、次第にミギーに対して友情に近い感情を抱くようになるが、やがてパラサイトと人間とが殺し合う事態が発生。新一とミギーもその争いに巻き込まれていく。
(出典:寄生獣 : 作品情報 – 映画.com)
名作の呼び声高い原作を、大胆に実写化しちゃった本作。アラが目立ちつつも、かなりいい線で映画化できてると思う。いろんなところを端折ってはいるけど、原作がもともと持ってる骨太のテーマ性を映画でも維持しているので、面白く見れる。
人間とは一体なんなのか。根源的な問いかけで、答えはないんだけど、寄生獣という生命体を通して、人間というものの醜さや、美しさ、それらを併せ持つ不思議な生き物としての人間を感じることができる。人間は美しいところだけでも醜いところだけでもない。素晴らしい作品です。
10.銀の匙
進学校に通いながらも挫折し、逃げるように大蝦夷農業高校に入学した八軒勇吾は、将来の目標や夢を抱く同級生たちに劣等感を抱き、酪農実習や部活には四苦八苦。慣れない農業高校の生活の中で悩み、戸惑いながらも、次第に自分なりの答えを見つけ始める八軒だったが……。
これも原作は未読。挫折した主人公が自分のいた世界から離れて様々な人に出会い成長していくという、王道のストーリー展開で、普通に映画としての完成度は高い。原作ファンからはあまり気に入れられていないようだけど、普通の映画としての出来としては評判は良いようです。
自分のできることに自分で勝手に線を引かない。僕たちはどこかで勝手に限界を決めてるけど、本当にそれは正しいのだろうか。見た後に少し元気になれるし、強くなれる気がする。とても、気持ちのいい映画です。
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11.岳-ガク-
山を知り尽くした山岳救助ボランティアの島崎三歩が暮らす山に、新人救助隊員の椎名久美がやってくる。久美は三歩の指導の下、着実に成長していくが、自身の未熟さや厳しい自然の猛威により遭難者の命を救うことができない日々が続く。そんな折、猛吹雪の雪山で多重遭難事故が発生し……。
(出典:岳 ガク : 作品情報 – 映画.com)
山の怖さを知りつつも、山に興味を持てるようになる映画だ。八甲田山とか現実の厳しい出来事を描いた作品もあるけど、こういうパワフルなキャラクターがいると、とても見やすいと思う。
山は美しいと同時に恐ろしい。それは、生きることは楽しいけど、死は怖いというのとどこか似ている。死は身近にある。でも、だからこそ懸命に生きていこうとしなければならない。強く生きていこう、そう思える映画です。
12.ライアーゲーム
「ライアーゲーム」に巻き込まれた女子大生の直は、天才詐欺師・秋山の助けを借り、なんとか決勝戦まで勝ち残る。優勝賞金50億円がかかった「エデンの園ゲーム」に挑んだ2人だったが、決勝進出者の中には最強の刺客「プレイヤーX」が姿を潜めていた。
テレビドラマからの劇場版。原作も好きで何度も読み返しているが、うまい具合にビジュアル化していて、フクナガがキノコ頭だったり、ナオが長髪だったりしても全く気にならない。秋山を演じる松田翔太は、最近ではすっかり桃太郎で有名になっちゃったけど、一昔前なら、このドラマの主人公が代表作みたいなもんでしたよね。まさに、はまり役。
原作にないストーリーで、この手のドラマの映画化って大抵はつまらないことが多いんだけど、原作と同じくらい緻密に練られた展開なので、漫画原作ファンも間違いなく楽しめる作品となっている。漫画原作で、なおかつストーリーを変えてるのに楽しめるという意味では一番良くできてるかも。まあ、ハートフルなストーリーではなく、謎解き要素の方が多いので、実写化しやすいということもあるかも。、
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おまけ:奇談
数多くの熱狂的なファンを持つ漫画家、諸星大二郎の最高傑作との呼び声も高い『生命の木』が、完全映画化。
よほど物好きでもない限り見ようとは思わない映画。阿部寛が出てなければ見てなかったかもしれないけど、原作の漫画は大変面白いので、そちらを読んでからこの映画を見るのも一興。
ホントに変な話というか、一風変わった作風なので、そこにはまれれば良いのだけど、かなり人を選ぶと思うので、おまけです。一体これはなんだ?と思いつつその魅力からは逃れられない。個人的には好きです。
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まとめ
漫画原作の実写映画はダメだと言われることが多いので、そんなのことはないんだというために書かせてもらいました。確かに少年漫画系の作品はなかなか実写化難しいと思いますが、題材によっては映画としての完成度がびっくりするくらい高いものもあります。
中には原作ファンからは低評価だったりするものもありますが、そこまで低評価にしなくてもいいのに、と思ったものは、ここに載せて見ました。まだ見ていない方は是非見て見てください。原作未読でも十分面白いものばかりですよ。
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