一条工務店で家を建てる場合に魅力的なのが屋根一体型の大容量太陽光パネルです。屋根全体を敷きまなく埋めるので太陽光パネルを最大限設置することができます。
我が家でも太陽光パネルを採用しました。我が家は平屋になるので、屋根の面積を2階建てよりも大きくとれます。そのため、より大きな太陽光パネルを設置することができています。
ほかのメーカーや工務店で家を建てる場合、一体型ではない太陽光パネルを設置する場合もあるかと思いますが、その場合も気になるのが売電価格ではないかと思います。
ただ売電価格は年々下げられています。売電価格が電気代に上乗せされ消費者の負担が増加しているという昨今の風潮から、売電価格も今後は大きく下げられる傾向にもあります。ただ、同時に太陽光パネル自体の価格も下がってきているので、メリットはまだあるというのが僕の考えです。以下で、詳しくお話しします。
2021年の売電価格はどうなる?
太陽光パネルの容量10kW未満の場合の売電価格の推移を以下に示します。
2016年度:31円/kwh(33円/kwh)
2017年度:28円/kwh(30円/kwh)
2018年度:26円/kwh(28円/kwh)
2019年度:24円/kwh(26円/kwh)
2020年度:21円/kwh(出力制限も同じ)
2021年度:19円/kwh(確定しました)
(括弧は出力制限ありの場合の売電価格)
2020年は3円も下がってしまいましたが、2021年は2円下がるだけになりました。
一条工務店で太陽光パネルを設置する場合、10kW以上の大容量を載せることもできます。その場合も、余剰買取を選択することができ、20年間売電価格が一定になります。
2016年度:24円/kwh
2017年度:21円/kwh
2018年度:18円/kwh
2019年度:14円/kwh
2020年度:13円/kwh
2021年度:12円/kwh(確定しました)
10kW未満と違い、2019年度は例年2円下がっていたので、15円だと思っていたら、2018年度に比べて3円も下がってしまいました。1円下がるだけでも、トータルで見ると数十万円にもなるので痛いですね。2020年度以降は1円ずつ下がっていますね。
参考: 買取価格・期間等|固定価格買取制度|なっとく!再生可能エネルギー
太陽光パネルの価格の推移
経済産業省が公開している調達価格等算定委員会の資料を基に、太陽光パネルの価格について調べてみました。
これを見ると、1kWあたり30万円くらいですね。新築であれば28万円と少し低くなります。これは太陽光パネルだけではなく設置費用も含めているため、パネル自体ではおよそ17万円のようです。
(参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/067_01_00.pdf)
パワコンなど含めた設備費は8割ほどになるので24万円ほど。残りが工事費用となるようです。例えば10kWを設置する場合、設備費だけで考えると240万円。トータルでは280万円かかる計算になりますね。ただこれは平均値のためもっと安くできる可能性はあります。
また、設置する容量を大きくすればするほど、工事費は薄くなっていくと思われるため、1kWあたりの価格は下がるのではないかと思います。
参考:我が家の太陽光パネルの購入価格
我が家は2019年に一条工務店で戸建てを建てました。その時の太陽光パネルの価格が、4,000,600円となります。 容量は19.74kWです。
1kWに換算すると、約20万円ほどになります。設置費用が建築コストに入っていると思われるので単純には考えられないですが、パワコン含めた価格として考えると、1kWあたりの価格は低いほうかなと思います。
価格:4,000,600円
容量:19.74kW
太陽パネルを設置した場合の期待リターン
太陽光パネルは設置した場合にどのくらいリターンが期待できるのでしょうか。基本的に売電価格は太陽光パネルを設置した費用を回収できるくらいには設定されているはずなので大損する、ということは基本無いはずです。
ただ、そこはある程度のリターンを期待したくなるもの。ある種投資のような側面もあると思いますので、その期待リターンを計算してみます。
とりあえず、わが家の場合で20年間15.4円(=14円+税)で収入得た場合を考えます。
20年間の総売電収入
一条工務店からいただいたシミュレーション結果の予想発電量が22,968kWhであることを使います。年間1%の発電量の低下=パネルの劣化があったと考えると、418,231kWhが20年間における総発電量です。
これに対して、売電価格15.4円を乗じると、約644万円となります。劣化率が1%というのは厳しめの数値で、実質的なところでいくと、0.5%未満にはなりそうです。
(参考:太陽光発電パネルの寿命・耐用年数は結局、何年なのか?劣化率とあわせて考える【ソーラーパートナーズ】)
ローン金利を含めた設置費用
我が家では400万円で設置しました。これは住宅ローンに含まれているため、住宅ローン金利はこの価格にも入ってきます。我が家は10年固定金利ですが、計算を単純化するために、全期間固定金利1.2%として計算します。
35年間でローン返済すると考えると、総支払額は約490万円となりました。金利分が+90万円あるということですね。
20年間のランニングコスト
太陽光パネル自体は結構耐久性が高いようで30年以上稼働しているものも現在あるようです。ただ、パワコンなどの設備はおよそ15~20年で交換する必要があるようです。また、長持ちさせるためには定期的な点検も必要なことから、ランニングコストを計算する必要があります。
調達価格等算定委員会の資料の中にランニングコストを計算している箇所がありましたので、参考にして計算したいと思います。
3,450円/kW/年 ✕ 19.74kW ✕ 20年 = 約136万円
20年間でのランニングコストは、136万円となります。
20年間の期待リターンは?
上記で計算してきた収入とコストは以下となります。
売電収入:644万円
設置費用:490万円
ランニングコスト:136万円
これらをまとめた期待リターンは以下で計算します。
期待リターン=644万円-490万円-136万円=18万円
20年間で、18万円(+2.9%)です。
あれ?18万円?20年間かけて18万円!?
ほぼメリットない!!
20年で割ると、1万円もない!!
ということで、ほぼほぼトントンとなっています。
これは、劣化率を厳しめにしていることと、発電量のシミュレーションも多くの場合上振れする可能性が高い予測値であることを加味すれば、もう少しリターンは大きくなるのではないかなと考えられます。最悪ケースの数値と考えてください。
またランニングコストについても、一条工務店など設置した業者=ハウスメーカーであれば、定期点検の中で合わせて確認してもらうことができると思うので、その中に含めていくこともできるかと思います。
住宅ローンを35年にしていましたが、繰り上げ返済や変動金利などのもっと低い金利で考えた場合はもう少し設置費用を抑えることができたはずです。また、現金で一括で払えているとすれば、金利分の上乗せはありません。
期待リターンを理想的な値で再計算
捕らぬ狸の皮算用はとても大好きなので理想的な条件で再計算してみましょう。下のような条件としたいと思います。
- パネルの劣化は0.5%
- 発電量は予想より5%高い
- ランニングコストをパワコン費用のみとする
- 20年でローン繰り上げ返済(太陽光パネル分)
売電収入:708万円
設置費用:450万円
ランニングコスト:79万円
期待リターン=708万円-450万円-79万円=179万円
20年間で、+179万円(+34%)です。
やっと安心できる数値が出ました。先ほどのおよそ10倍ですね。理想で考えてはいますが、現実離れしたものではなくある程度現実的な数字を出したつもりです。
年間の利回りで考えると1.7%くらいになります。投資として考えるとそれほど大きくはないですが、安定して得られると考えれば、まあまあではないでしょうか。ここでは20年間で考えましたが、30年間稼働させられたとすれば、さらに収益を伸ばすことができます。ただ、20年後はどうなっているかわかりませんので、ここでは出さないことにします。
10kW未満の場合の期待リターンは?
先ほどまでは10kW以上で20年間売電した場合でした。10kW未満の場合はどうか計算してみます。
太陽光パネル搭載量は10kWとします。売電価格は、最初の10年間は19円/kWhとし、その後の10年間は8円として計算します。また、容量と設置費用は単純に半分。発電予想も半分とします。
売電収入:318万円
設置費用:225万円
ランニングコスト:69万円
期待リターン=303万円-225万円-69万円=24万円
20年間で、24万円(+8.2%)です。
これまた低いですが、これが平均ラインと考えればそれほど悲観しなくてもいいかもしれません。現実的にはこれよりはリターンが大きくなることもあるはずです。
実は売電よりもメリットの大きい自家消費
売電収入を考えた場合、厳しめではありますが、少なくともトントンにはなり、うまくいけば利回り1.7%くらいは狙える計算結果となりました。とはいえ、これだけ聞くとあまり旨みがないなと考える方もおられると思います。
しかし、太陽光発電のメリットは実は売電だけではなく、自家消費にあると僕は考えています。というのも特にオール電化で暮らしている人は、昼間の電気代がものすごく高くなるため、そこを太陽光発電でまかなえるとすると電気代を大幅に抑えることができます。
自家消費にはどれだけメリットが大きいか計算してみる
例えば、中部電力のスマートプランであれば、昼の電気料金は38.71円/kWとなります。一方で売電価格は、19円もしくは12円ですので、売電価格のほうが安くなっています。そのため、昼間に発電した電気は売電するよりも、自分で消費するほうが安くなるわけです。売電しないので19円もしくは12円で買電したのと同じ状態となるわけです。
オール電化住宅の昼間の電気使用量が調べられなかったので、こちらのページを参考にさせてもらうと、オール電化の家庭は平均で年間4,888kWhを消費しているようです。そのうちの自家消費率は3割ほどと言われているので、1,466kWh年間で消費することになります。
売電が12円+税と考えると、1,466kWhをすべて太陽光発電で賄えたとすると、38.71円/Kwhとの差額によって、年間トータル37,398円のメリットがあることが計算できます。売電が19円+税とすると、26,109円のメリットです。
これを20年間続けられたとすると、約52~74万円も電気代を払わなくてもよくなるということが計算できます。
自家消費することによるメリットの大きさがお分かり頂けると思います。売電での理想のメリットと合わせると、+253万円(+48%)で年間2%の利回りとなります。
太陽光発電の売電価格が高いと、こういう使い方はできず全て売電したほうがお得でしたが、今は逆に買電>売電となっているため、自家消費したほうがメリットが大きいのです。
結論:売電によって設置費用を回収して自家消費でメリットを享受できる
かつては、売電価格48円/kWhという買電よりはるかに高い価格で太陽光発電で収益を上げることができました。現在はその半分以下となり、収益という意味ではあまり旨みがなくなっているかのように思えます。
しかし住宅用の太陽光発電であれば自家消費というメリットを享受できるため、トータルで見れば収益が仮に設置費用とトントンだったとしても太陽光パネルを設置したほうがメリットは大きいのです。
僕個人としては売電でも結構収益はあるのでは?という皮算用をしてはいるのですが、最悪のケースを考えた場合でも自家消費という手段が取れる以上メリットはずっと大きいと考えています。しかも今後は電気料金は値上げされる可能性も高く、電気料金が上がれば上がるほど、自家消費に対するメリットは上がっていきます。
太陽光発電のデメリットも存在するためよく考えたほうが良いのは間違いないですが、メリットも十分にあることがお分かりいただけたでしょうか。僕個人としてはメリットのほうが大きく感じているため、太陽光パネルを設置しています。
ただ、上で計算した数値はあくまで様々な前提の上での仮の数値です。そうならないケースもあると言うことだけには注意して下さい。
長々話しましたが、設置を考えられている方の一助になれれば幸いです。
我が家の1年間の太陽光発電での売電価格については以下の記事で書いています。ご参考にして下さい。ちなみに、自家発電率は37%となりました。
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